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「…おいおい、勘弁してくれよ。オレは、親が見ていない隙に買い物かごに欲しいお菓子をダンクシュートする子供の真似なんかしないってば。」
やれやれ、と手を広げる同居人に対し、紫はあからさま唇を尖らせて、ボディーソープのラベルを眺め出す。
「じゃあ、訊くけど。なんで、α用のボディーソープなんか手にしていたの??…というか、別に嶋が自腹で買うんなら、僕は何を買おうと止めないけどさ。」
「いや、だから買うつもりはねぇんだって…。ややこしい真似して悪かったけど、ちょっと物珍しくって。」
紫の頭上に?マークが浮く。
「…物珍しい??」
「そっ。」
紫からボディーソープを渡してもらい、同居人は商品棚の元の位置にボトルを返す。
「オレ、実家じゃ普段、β用のボディーソープだとかシャンプーしか使ってないから。こういうのあるんだな~、って。」
なるほどね、と紫が相槌を打つ。雰囲気が若干ではあるが、柔和になった。
「大抵の大手メーカーが、α、β、Ω用に出しているけど、売り上げトップに食い込むのはβ用のものだもんね。β用のもののが、下手にフェロモン関係の効能を混ぜてないから身体にいいとも聞くし…。α、Ω用は、ヒートや発情期にも効くものが多いけど、その分相性や効能の良しあしが選びづらいって聞くよ。」
「ふぅん。」
嶋は同調しかけ…同居人に問いかける。
「…なぁ、それって授業で習ったこと??」
「ナイスブラックジョーク‼…これ、間違いなく一般常識だから。」
さらりと皮肉を織り交ぜて打ちかえす、優等生Ωだった…。
数時間後。風呂掃除が終わった嶋は、自室のベッドに横たわり、漫画雑誌を読んでいた。月刊発売の雑誌は、巻頭カラーで美少女グラビアが数ページ載っている。寝そべって、食べてごらんと誘惑するように豊かな胸を露わにする美少女に嶋はぼやく。
「…いや、やっばいって。」
がばっと起き上がり、嶋は自身の頭を無茶苦茶に掻きまわす。
「あ~、ダメだ。こりゃ、ダメだ。だって、それはその…。アレじゃん。」
脳裏でぐるぐるさせた挙句、嶋は結論を口にした。
「紫ちゃん…、もしかしなくても、オレのこと大好きじゃね??」
ひと悶着あったものの、スーパーからの帰り道、二人は再び手を繋ぎ、嶋は空いた手で荷物持ちをした。拳一つ分の距離に嶋はどきどきしっぱなしだった。
「いや、待て。あのドキドキは、αがΩに本能的に感じる恐怖だ(?)そうに違いない…。」
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