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(多分、君が想像している不純同性交遊とかは全然…っ‼)
答えようとして…下手に説明すると逆に相手に淡い希望を抱かせそうだと危惧して、嫌々ながら頷く。
「ああっと…。…うん。はい、ソウデス…。」
嶋は、相手が近くにいませんようにと目をぎゅっと瞑って祈った。
(嘘も方便‼嘘も方便なんだって、紫ちゃん‼)
「…まあ。」
黒川は口元に手を当てて、しばらく目を丸くしていたが、嶋と会って二度目だからか。すぐ居直った。両拳でファイティングポーズを作り、威勢よく嶋を励ましてくれる。
「私は、嶋さんの幸せを応援しています‼」
(現在、オレが紫ちゃんに賭けを申し込まれている事項自体はαにとって不幸せ以外の何物でもないのだけれど…。)
嶋は唇を引き結んで、黒川には事実を伝えないであげた。…話を終える頃には、タクシーが二人の前に滑り込むように停車していた。
数時間後。紫の家に帰宅した同居人は、自室でベッドの淵に腰かけ、腕組みして考え込んでいた。…理由は、たった一つ。
(紫ちゃんが超冷え冷えモードなんだけど…。)
首輪をつけていなかった黒川を見かけ、紫そっちのけで勝手に追いかけていったのは、自分に非がある。帰って、開口一番、同居人には謝罪した。気のない素振りだったけれど、紫は問題ないと口にした。
だが、しかし。
『紫ちゃん、オレ、課題終わらせたんだよ‼』
意気揚々と嶋は、相手に埋まった読書感想文の原稿用紙を見せた。
『学生の義務だから、当然だよね。』
死んだ魚の目で、吐き捨てられる。
『紫ちゃん、オレ、部屋掃除しといたから‼』
ハイテンションで嶋は、ピカピカになった部屋を案内していく。
『…ありがとう、嬉しいよ。』
完全なる棒読みを返された。
…嶋は、困惑を隠しきれない。
(これじゃ夜這いの理由も方法も何一つわからないままじゃんよ~!?オレ、紫ちゃんに何かした??何であんな怒ってんの??紫ちゃんより理絵ちゃんを優先したから??…でも、多分紫ちゃんは彼女が首輪していなかったΩだなんて、わかっていないだろ??)
「だァァァ~~~ッ‼」
嶋は、ベッドでもんどうりうつ。すると、彼の自室の扉がドンと強く殴られる。
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