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「行く‼ごめん、一緒に寝たい‼寝るから‼お願い…っ‼」
結局懇願するΩに押し切られ、嶋は同居人と二人っきりで眠ると決まった。
数時間後。浴室でシャワーを浴びつつ、嶋は心底困っていた。
(何でΩを寝室に引き入れてんだ、この役立たずαァァァッ‼)
否、嶋だって考えなしでΩの同居人をベッドに誘ったのではない。…どうせ、今晩部屋を施錠したところでまた夜這いをかけられるなら、実際誘い込んでΩの出方を伺おうと画策したのだ。
(作戦をたてた…は、いいが。)
嶋は足元に敷き詰められたタイルを眺め、ほうと息をつく。
(紫ちゃんと二人っきりでベッドに入るって…眠れるのかな、オレ。)
紫だって発情期は終わっている。武器となるフェロモンもなく、堂々と襲いかかってくるとは考えづらい。
(あ~、考えるの打ち切り‼どうにもなんねぇし‼運を天に任せる‼今は、その…紫ちゃんと字面通りのベッドにインする男として、恥じないように身支度するのみだ‼)
紫は同性といえどΩだ。フェロモンは狂おしいほどだが、日常から香る匂いにも気をつけているのがわかる。
(シャンプーだって、いい匂い使っているし…。)
考えて、嶋はハッとする。昼間、黒川が紫も使っているらしいシャンプーの銘柄を教えてくれたのだ。
「…ええっと、紫ちゃんのシャンプーは…。」
不躾かもしれないが、せっかく目の前にボトルが複数あるのだ。シャンプーを探して、嶋はボトルの群れを漁ってしまう。
「…あった。けど…。」
嶋が手にしたのは、『カミッ兎β用』という、これまた大手のシャンプーボトルだった。だが、黒川から聞いたメーカーとはまた別のものだ。ノック式のシャンプーだったので、プッシュして、手のひらに出した乳白色の液体に顔を近づけ匂いを嗅いでみる。
「…間違いない。」
昼間、黒川の髪から同じ匂いがした。無論、紫の髪からも、である。
「でも、何で中身が違うのに他のボトルに入ってんだ??」
ふと嶋は思い出す。メーカーを訊いた時、黒川は答えた。
『Ω用の…××のシャンプーですけど。』
素朴な疑問が、嶋の口をついてでる。
「…何で、“Ω用”なんだ??」
考え当たる節は、ある。同居を始めた当日。風呂上りの自分に紫は慌てた様子で声をかけた。
『ごめん、嶋‼僕、嶋の分のシャンプーとかリンスを用意するの忘れていて…。…もしかして、僕の使った??』
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