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(あれはひょっとして、オレを心配すると同時に、オレが紫のシャンプーを使うと彼自身、よくない状況にあったから…??)
たかがシャンプーボトル一本。…その、他愛ない一本に嶋の気持ちは酷く搔き乱されていた。
重大な考え事も、一つのベッドを共有しないといけない相手がいる状態では簡単に吹っ飛ぶものだ。
「…嶋。」
ぺったりと身を寄せてくるΩに、嶋は苦悩していた。
(こうして改めて、ベッドで身体を密着させると…込み上げてくるものがあるというか…。)
普段、隣に並んで歩くだけでも感じている紫の小ささがくっつく行為によって、更に好感を高めてくる。
(まとめ役になりやすい体質のαにとって、小さくてか弱い対象を見るとなんっつぅの??人一倍守りたいって思うし、世話したいし…。これはオレの性格もあんのか??)
薄暗い寝室。二人分の息遣いが聞こえてくる。八月終わりとはいえ、まだクーラーを入れていないと少し暑い。クーラーの薄い稼働音。触れ合った肌から、相手の温もりと鼓動が流れ込んでくる。嶋の自室に窓はないから、外部の音はほとんど閉め出されている。二人を縛るものは、室内にしかない。
「嶋、身体おっきいね。」
体格差から、嶋の胸元ぐらいから相手の声がしてくる。若いαの胸に頭だけ乗り上げた紫は、くすくすと無邪気に笑ってみせた。
「筋肉ついている。…嶋の癖に。」
「癖に、って何だよ。」
ペタペタと胸元を弄ってくる紅葉みたいな手を、嶋は変に意識してしまう。紫は好奇心から、相手の身体に触れているだけなのに…薄闇の中、ベッドの上という設定が若いαの妄想に肉付けしていく…。
「ゆ、紫ちゃん。それ以上、触んの、やめて…。」
相手は、高い声で抗議する。暗闇で視覚が閉ざされた今、相手を確認する手は温もりと声しかない。相手の体温を意識すると、嶋の心拍数は否応なく上がる。
「え~??何で??…αと一緒に寝るなんて、滅多にないでしょ。」
追いかけてくる無垢な笑い声に、嶋はお手上げだ。
(いかがわしく聞こえてしまうオレの耳、いっそもう引っ剥がしたい‼)
悶絶する嶋を横目に、Ωの指先は伸びて…唇を掠めた。悪戯な指先はそのまま上を目指して…嶋の頭に置かれた。
「…ん。」
妙に掠れた声をあげて、紫が枕元へとずり上がってくる。耳元で、衣擦れの音が一段と大きく響く。小っちゃな温もりが少々息を乱して、背伸びするように這い上がってくる。
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