アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
不審な訪問者4
-
しかし、よく判らない男だ。がたいが良いことや背が高いことは把握できるし、年齢が恐らく三十に満たないくらいであろうことも予想がつくのだが、どうしてか、容姿に関するそれ以上の情報が入ってこない。顔を見ているのに、その顔に薄膜でも掛かっているような、不思議な感じだった。それでいて仕草や表情は霞なく伝わってくるのだから、何処となく不気味である。
「店主殿はお留守かな? もし遠出ではないのであれば、少し店内で待たせて貰いたいのだが」
「……ああ、いえ、……僕が、店主です」
その言葉に、男は素直に驚いた表情を見せた。
「お前のような子供がか?」
「はい」
侮るような物言いに少し引っ掛かりを覚える少年ではあったが、そんな素振りは見せず、にこりと笑みを顔に貼りつけ続ける。だが、何か思う所があったのか、男はすぐに軽く頭を下げた。
「申し訳ない。店主殿を軽んじる気はなかったのだが、さすがに驚いてしまった。しかしその若さで店主とは。見たところ、まだ十五歳ほどのようだが」
もしかすると十五にも満たないかもしれない、という思いを隠すこともなく男がそう言えば、少年はやはり白熱電球の笑みのまま口を開く。
「十七です。お察しの通り、若輩の身ですね」
柔らかく言い、決して表には出さないものの、やはり少年は気分を害されたようだった。そしてそれを見透かしたかのように、男が再び頭を下げる。
「度々申し訳ない」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 228