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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
不審な訪問者6
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「そう、言われましても……。お客様の情報を、今会ったばかりの貴方にお教えする訳にはいきません」
「やはりそうか。いや、それこそ正しい店主の有り方だな。……では、会ったばかりでなければ良いのか? 例えば、私が店主殿と友好を深めた暁には教えてくれると?」
男の言葉に、少年は少しおかしそうに笑って見せた。
「面白いことをおっしゃいますね」
「そうだろうか。これでも一応本気のつもりだったのだが」
「ご冗談がお好きなようです」
にこりと少年は笑みを深めたが、それはただ笑顔の形をとっているだけだ。寧ろ先程よりも熱の無い明るさを増したそれは、彼の言外の意図を伝えるに充分だった。隠すつもりがないのかと思うほど強く示された、直接的ではないが明確な拒絶の意思。男の存在を自身からシャットアウトしようというそれを、男は違わず感じ取った。そこに立ちはだかるのは、通常であればこれ以上は無理だと判断させるほどの強固な壁だ。だがしかし、
「今は互いに互いの人となりを知らぬからな。その反応も、致し方ないことだろう」
緩やかな微笑みを象った男は、どうやら壁を壁とも思っていないらしい。変わらず人懐こい表情をしたままの彼に、少年は内心で戸惑った。
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