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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
潜入2
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以降の話は若い店主の知るところではない。だが、やけに満足そうな顔(といっても相変わらずその造形は曖昧だが)をした男が珍しく日が沈む前に店を出て行った後、残っていた常連客が随分と妙な顔をして少年を見た。
「キョウヤくん、あいつは一体何者なんだい?」
「……さあ? 僕も詳しくは……。……そんなに変な話だったんですか?」
「変というか、思っていた以上に危ない橋を渡ってる男だなありゃ」
「危ない橋……」
少年の呟きに、客が深く頷く。
「いや、俺もね、決して堅気とは言えないような生活をしてるが、あいつはちょっとレベルが違うな。裏稼業に携わる連中は多く見てきたが、それでもここ金の国は平和な国だ。この国にいるならず者なんて大概が半分牙の抜かれた獣みてぇなもんさ。だが、あの男は違う。聞けば、あの銀の王国、エルキディタータリエンデの裏のことまで深く把握してるみてぇだ。他の国のこともよく知ってるようだったが、中でも銀の国は特にやばい。リアンジュナイル一の大国だけあって、裏稼業の人間だっておいそれとは手を出せないような闇の部分を多く抱えてるって噂だ。だってのに、奴はその闇に紛れこんで危ないお遊びに散々興じたらしいぜ? ……良いかい? あいつはかなり危ない男だ。キョウヤくんみたいなお日様の元で生きる子は、あんまり関わっちゃいけねぇよ?」
関わりたくなくたって向こうから関わってくるのだ、というのが本音だったが、勿論それを口にすることはなく、少年はただ曖昧な微笑みを浮かべて頷いた。
「はい。有難うございます」
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