アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
潜入16
-
月神のカード。それは、“キングオブキングス”中、最も不要とされるカードだった。持っていても何の役にもならないどころか、持っている者は問答無用で負けになる、という特殊カード故に、手札に入った場合はすぐさま捨てられる疫病神的なカードなのだ。が、とある条件においてのみ、最強のカードに変貌することができる。その条件が揃ったのが、今この瞬間なのであった。
月神のカードは、相手が太陽神のカードを持っているときに限り、所有者に勝利をもたらす奇跡のカードとなる。
しかし、月神のカードが発動することは極めて少ない。何故なら、太陽神のカードと月神のカードは山札に一枚ずつしか入れられず、両者が揃って場に出ることはほぼあり得ないからだ。よって、月神のカードは捨てられないことの方が珍しい。
だが、男はそれが狙いだった。相手の細かな挙動から、向こうが太陽神のカードを持っていることはほぼ確実だと踏んで、ならばと月神のカードを引き当てるために、大役だった五枚のカードを全て捨てることにしたのだった。
もちろん、たかだか五枚を引いただけで、百枚以上の中から望むたった一枚を引き当てることは困難だが、男にそれに対する不安はなかった。何故なら、男は異常なくらいの強運の持ち主であり、本人もそれを自覚していたからである。現に、こうしてたった一枚を引き当て、奇跡のような勝利を収めている。
まんまと金貨五枚を手に入れた男は、続く勝負も危なげなく勝ち抜いていった。そのまま続けること十戦。すべての勝負に大勝した男は、順調に金貨を積み上げていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 228