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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
潜入18
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案内されたルーレットは、いくつか種類がある中でも最も単純なものだった。十二国の内の金と銀を除く十色がそれぞれ三マスずつと、金と銀が一マスずつ組み込まれたルーレット版。そのどの色の部分に球が止まるかを賭けるゲームだった。ただし、金色と銀色だけはディーラーマスと呼ばれ、プレイヤーが賭けることはできない。そして、球がディーラーマスに止まった場合は、場にある賭け金は全てディーラーが回収する決まりである。
「ルールは単純明快に、一色賭けの五回勝負でいかがでしょう。お客様が賭けたマスにもディーラーマスにも止まらなかった場合は場にプールされる、ということで」
「構わんよ。ではそうしよう」
プレイヤー用にと渡された赤色のチップを受け取り、取り敢えず適当な枚数を青色のマスに賭けてみる。いつの間にか、周囲には人だかりができていた。大方、勝ち越して有頂天になっていた客がディーラーに大負けする様を一目見ようといったところだろう。まったく、良い見世物である。
それでは、という声と共に、ディーラーがルーレットを回し、球を投げ入れる。カラカラと音を立てて駆ける球の行方を目で追えば、徐々に速度を落としていったそれは、見事に青色のマスに落ち着いた。観衆が感嘆の声を上げるが、しかし男は表情を変えない。
勝負は五回あるのだ。どうせ最後のベットでこちらの稼ぎを全て賭けさせるのだろうから、最後の勝負に勝たねば意味がない。その後、三回四回と勝負を重ねたが、驚いたことにその全てで、球は男の選んだ色のマスに止まった。さすがの男も、これはディーラーがわざとやっていることなのでは、と考えたが、様子を見るにディーラー側も想定外の事態だったらしい。思っていた以上に男の運が場を乱してくれているようで結構なことだが、大事なのは次の一戦だ。
「そこまで大勝されますと、こちらとしても引き下がれなくなってしまいます。……どうでしょう。ここは一つ、お客様がここで稼いだ金額を全て賭けて頂くことはできないでしょうか。勿論、お客様が勝利されたあかつきには、その金額の更に倍をお支払いさせて頂きます」
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