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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
煌炎5
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夜の市に連れて行って貰う約束を(半ば無理矢理)取り付けた男は、満足して宿の床に入った。勿論、夜の市を見て回れることもそうだが、それよりも昨夜の功績が大きい。ようやく、カジノ客の口から『失せ物』についての情報を得ることができたのだ。
聞いたところによると、男の探し物はよりにもよって、あのカジノの更に奥にあるらしいオークション会場で競りに出されるらしい。明確に『失せ物』である旨が聞き出せた訳ではないが、この世にふたつとない珍品中の珍品、という謳い文句に該当するものなど、他には浮かばなかった。
しかし、さすがの男もこれには驚いてしまった。まさか相手がそこまでの暴挙に出るとは思っていなかったのだ。もしもオークションが開催されてしまったならば、いよいよ国家戦争ものだ。なんとしても、オークションという衆目に晒される前に、取り戻さなければならない。
だが、オークションなどと言うそれなりに思い切った手段を選んでくれたおかげで、逆に発覚も早かったのだろう。どうやら一週間後に開かれるらしいそれを見据え、男は本格的に動き出していた。
とは言え、一日中気を張っているのも馬鹿らしい。物事には動くべき時というものがあるのだ。そうではない時にいくらがむしゃらになったところで、状況が好転することなどない。
という訳で、宿のベッドで十分な睡眠を取ってから、昼の市を覗きにふらりと外に出たのは、本当にただの物見遊山だった。店主と約束した時間まではそれなりにあるし、折角だから久々に貿易祭に顔を出すのも悪くないと思ったのだ。
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