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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
煌炎7
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「ほう、炎華鳥の羽根に、ウンディーネの水衣、あちらに見えるのはゴーレムの核だな? どれもそう簡単に手に入るものではないが、さすがは貿易祭、と言ったところか」
「いえ、今日は特にすごいと思います。普段の貿易祭でも珍しい品を見かけることくらいはありますが、滅多に手に入らない品がこんなに沢山置いてあることなんて、なかなかありませんから」
「なるほどそうなのか。では、私は運が良いのだろうな」
嬉しそうに笑った男に、そうですね、と適当な返事を返し、少年は先を急いだ。
何せ、男はどうだか知らないが、少年はとても運が悪いのだ。買い物に行ったら欲しかったものが品切れだったり、帰りに恐喝にあってせっかく購入した品物を持って行かれてしまったり、数え出したらきりがない。故に、今日も急がなくては、珍しい染料がなくなってしまうかもしれない。
「あの、僕は染料のフロアに行くので、貴方はどうぞお好きなところを見ていてください」
「うん? いや、同行人ということにして貰う代わりに荷物持ちくらいはすると言っただろう。店主殿について行くが」
「いえ、付き合わせてしまうのは申し訳ないので」
折角素敵なものに囲まれた空間に居るのに、男が隣に居ては台無しである。丁重にお断りすれば、男は存外にあっさりと引いてくれた。やはり、よく判らない人だ。
「それでは、また後で落ち合おう。場所は、……中央に大きな噴水があったな。そこでどうだろうか?」
「判りました」
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