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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
デート?4
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「次は、そうだな。少し買い物に付き合ってはくれんか?」
「買い物、ですか?」
「この後行く場所のことを考えると、買っておいた方が良いものがあるのだ」
「はあ。構いませんが」
一体どこに行く気なんだこいつは、と思いつつそう返せば、ありがとう、と微笑まれた。
そのまま男に連れられ、やってきたのは案の定貴族向けの服飾店だった。例によって例のごとく一度追い出されそうになったが、男の出した紙切れ一枚で店員の態度が一変する。段々それにも慣れてきた少年が、一体何を買いたいのだろうかと静かに店内を眺めていたところ、店員と何かを話している男の口からいきなり自分の名が出てきて、驚いて男の方を振り返った。
「キョウヤに似合う服や靴を一式頼む。上等なものを用意してやってくれ」
「え、あ、あの、」
「ああ、私からのプレゼントだ。デートにプレゼントは付き物だろう? 本当はテディベアが良いのだろうが、それはまた次の機会にしよう」
色々とツッコミどころは満載だったというのに、何故か少年の口から出た言葉は、
「……なんで、テディベア……?」
混乱しすぎて最もどうでも良い部分に言及してしまったが、混乱していたのだから仕方がない。
「うん? 贈り物と言えばテディベアなのだろう? 大きければ大きいほど喜ばれるそうだな」
「……はあ」
思えばここで明確に否定しなかったことが、未来永劫ちょっと困った事態を引き起こす結果になるのだが、それはもっと後の話である。
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