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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
デート?6
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「……あの、その服……」
「うん? ああ、これか。私の物ではないぞ。少し離れたところに衣装貸屋があってな。そこで借りてきた。このような衣装を持っていても使わぬから邪魔になるだけなのだが、だからと言っていつもの格好で行くわけにもいかない。という訳で、貸衣装が丁度良かったのだ」
「ああ、なるほど」
つまり、自分のこれも借り物ということなのだろう。それだって相当なお金がかかると思うけれど。と思ったところで、男が少しおかしそうに笑った。
「プレゼントだと言っただろう。お前のそれは私が買い取るよ」
「え、あの、そこまでしてもらう理由が、」
「愛する相手に贈り物がしたいというこの気持ち、どうか無下にしてくれるな」
訳の判らないことをほざく男に手を取られて、指先にキスをされる。
(ひえっ)
ぞわっと悪寒が走って、少年は反射的に手をぱっと引いてしまった。慌てて薄ら笑いを浮かべて誤魔化しておくが、今すぐにでも手を洗いたい気分だ。気持ち悪い。
「ははは、キョウヤは初心だな。だがそういうところも愛らしい」
「あ、あはは、そうですか」
適当に返せば、傍に居た店員までお二人は仲良しですわね、などと言い出して、少年は頭が痛くなってきた。
「ああ、そうだ。お前の着替えが終わるまでに時間があったから、ついでに近くの店を見ていたのだが、こんなものを見つけてな」
そう言って男が部屋の外に声を掛けると、銀色のトレーを持った店員が新しく入ってきた。そのまま店員は、少年に向かってトレーを差し出す。
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