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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
デート?10
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「ロストさん、て、やっぱり凄い人なんですか?」
問いかけに、男は少し笑って肩をすくめて見せる。
「いいや。たまたま周囲の人に恵まれていただけだ。……さあ、見えて来たぞ」
そう言って窓の外を見た男につられて外を見れば、目に飛び込んで来たのは大きな城だった。これは、世に疎いさすがの少年も知っている。ギルガルド王国の王都にそびえる城など、たったひとつしかないのだから。
「ギルディスティアフォンガルド王城……」
馬車が向っているのは、紛れもなく金の王国の国王が住まう城であった。
「あ、あの、ロストさん、どうして王城に、」
「どうしても何も、会場が王城の庭園なのだ。何も不思議はないだろう」
「そ、そうじゃなくて、あの、」
王城に踏み入れることに何の抵抗もないのかこの男は、と思うも、それを口に出す余裕もなく、少年はただ口をぱくぱくさせた。
「ああ、何も心配などしなくて良い。そのために身なりを整えたのだから」
とても似合っているぞ、と男は微笑んだが、少年の方はそれどころではない。
自分のような薄汚い子供が王城に立ち入るなど、どう考えても不敬だ。見つかったら追い出されるだけでは済まないかもしれない。厳しい仕打ちが待っていたらどうしよう。痛いのは嫌だし、辛いのも嫌だ。
ただでさえ余り良くはない顔色を一層悪くさせてしまった少年に、男は少しだけ首を傾げた後、そっとその頭を撫でた。びくりと怯えたような反応を見せた少年だったが、それでも男は撫でる手を止めなかった。
「私がいるのだ。お前に危害など、加えさせるわけがない」
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