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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
デート?13
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「輝きが弱くて実際の夜空ではどんなに目を凝らそうとも見えぬ星も、投影されているのだ。事実のそれよりも光度を上げているのだろう。故に、ここまで完成された夜空を作ることができる。言うなれば、これは星座盤をそのまま夜空に映し出しているようなものだな」
星空に見惚れていた少年の耳に男の説明はあまり入って来なかったが、それでもこの夜空がとても美しくて、そして同時に本物ではないということだけは理解できた。それでも、こうも美しくあることができるのならば、偽物か本物かなんてこの際関係ないのではないだろうか。
そんなことを考えながら幻の星空や優雅に滑る幻影たちを眺めていると、ふと、少年の視界を遮るように、大きな背中が正面に立ちはだかった。一瞬理解が遅れたが、どうやらこの背中は自分をここに連れてきた男のものらしい。
気分よく幻を眺めていた少年が何事かと声を掛ける前に、男はちらりと少年を振り返って、そのままでいろ、と小声で告げてきた。それとほとんど同時に、男の背の向こう側から知らない声が聞こえる。
「これはこれは、ロストさんではありませんか! こんな場所でお会いするとは、奇遇ですね」
今日一日聞いていた低い声とは違い、やや軽めの、しかし何故か耳に馴染みやすい声だ。
「おお、デイガー殿。貴殿もいらっしゃっていたとは」
少年は知らないが、親しげに声を掛けてきたのは、例のカジノのオーナーであるデイガー・エインツ・リーヒェンであった。初めてカジノに行ったあの日以降、男が出向くと必ずオーナーが直々に挨拶をしに来るため、顔見知り程度の関係にはなっていたのだ。尤も男は、デイガーがわざわざ声を掛けてくるのは友好関係を築くためではなく、男を目立たせることで目くらましの効果を少しでも低下させるためだろうと考えていたが。
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