アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
デート?16
-
「この国に来てから知り合った友人ですよ。少々人見知りらしく、未だに私にすら慣れてくれないのが残念ですが」
「なるほど。しかし、ロストさんはそちらの方を随分気に入られているご様子だ。そんなに警戒しなくとも、捕って喰べたりなど致しませんのに」
「いや、本当に人見知りな子でしてな。デイガー殿のような物腰柔らかなお方であれ、初対面の人間に対してはどうしても怯えてしまう」
確かに少年は人見知りであるし、初対面どうこう関係なく他人と関わるのを好むタイプではなかったが、では他者に対してそうしょっちゅう怯えるかというとそんなこともなく、仮に怯えるようなことがあったとしても、それを悟らせない程度には表情を作るのに長けていた。故に、男の言葉が嘘であることは少年にも判った。勿論、何故ここで嘘をつく必要があったのかまでは判らなかったが。
心底居心地の悪いこの状況をどうすべきかと考えていた少年だったが、いつの間にか背中に回っていた大きな掌に、宥めるようにぽんぽんと背を叩かれ、接触を好まない彼はますます気分の悪い思いをするのだった。
だがまあ、一応ある程度の空気くらいは読める。恐らくこの場は黙っていた方が良いのだろう、と口を引き結んでいれば、それを察したのか、元々大して強くはなかった男の拘束は緩んだ。
「うーん、残念です。ロストさんが気に掛ける相手なのでしたら、ぜひご挨拶をと思ったのですが」
「大変申し訳ないが、またの機会ということで勘弁して頂けないか? この子とはまだまだ交流途中でしてな。互いにもう少し打ち解けてからで良ければ、今度は二人でバーに伺いますので」
「それなら仕方がないですね。でも、約束ですよ? お待ちしておりますからね」
「勿論。私もまたそちらで遊ばせて頂けるのを楽しみにしていますよ」
何を勝手な約束を取り付けてくれてるんだこの男は、と思いはしたが、今さら口を出すわけにもいかないので大人しく黙っていることにする。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
105 / 228