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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
デート?17
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その後、二言三言交わしてからデイガーが去っていき、その背中が人に紛れて見えなくなったあたりで、ようやく少年は男の拘束から解放された。すぐさまその背中から離れれば、振り返った男が申し訳なさそうな顔で少年を見下げてきた。
「すまない。苦しかったか?」
「いえ……」
苦しくはなかったけれど気分は最悪でした、と言う訳にもいかず、いつもの微笑みを貼り付けておけば、それならば良かったと言って男は微笑み返してきた。
「ところで、あの、さっきの方は……?」
「例の、私が最近出入りしている先のオーナーで、デイガー・エインツ・リーヒェン殿だ。歳はまだ二十そこそこだろうが、それでオーナーの地位にあるのだから、中々のやり手だぞ」
「はあ」
言葉をぼかしてはいるが、詰まるところ違法カジノのオーナーということか、と少年は察した。まあ察したところでどうということはないし、自分に関係のある話でもないのでどうでも良かったが。
なんにせよようやく居心地の悪い状況から解放されたのだからと、さっさと幻を眺める作業に戻ることにする。魔術が魅せる美しい芸術品たちは沈みかけていた気持ちを浮上させるには十分で、結局彼は、今日の祭が終わりを迎える時まで飽きることなく空を見上げていたのだった。
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