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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
狙われた店主12
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「どなたも何も、アナタが散々に嬲り倒した哀れで惨めでゴミのような少年でしょう? つい今しがたの記憶すら忘却の彼方とは、随分都合の良い頭をお持ちのようだ」
小馬鹿にするような物言いに、しかしデイガーは決して敬意を示す姿勢を崩さなかった。
「同一人物とは思えません。……もしや、貴方こそがエインストラで、天ヶ谷鏡哉くんは宿主か何かなのでは? エインストラは次元に適した姿を取ると聞きますが、それはつまり、その次元の生き物に寄生するということだったのではありませんか?」
まるで世界の真理を解き明かしたかのように言い寄るデイガーに、『彼』は少しだけ眉を寄せた。
「コレがオレの宿主? どうやらアナタの頭は都合が良いだけでなく大層イかれていらっしゃるらしい。医者へでも行ったら如何です? あぁ全く、よりによって眼帯を奪うものだから、コレが恐慌状態に陥ってしまったし。お陰でオレがわざわざ出るハメに……面倒臭ェ」
「ああ! やはり貴方こそがエインストラだったのですね!」
「……あァ? 人の話を聞かねェクソ野郎だな。さっさとそのイカれた頭を医者に診せてこいっつってんだろうが。ついでにこの脚も治せ。こんなんじゃまともに歩けねェじゃねェか」
心底嫌そうな顔をした『彼』に、しかしデイガーは気にした風もなく、寧ろ感極まった様子で満面の笑みを浮かべた。
「いいえ、エインストラ。御心配には及びません。我々に必要なのは貴方の脚ではなく血なのですから。ああ、ご安心を。決して命を奪うような真似は致しませんとも。ただ、一生その血液を我々に与えてくだされば良いのです」
「……どういうことだ、テメェ」
「簡単な話です。我々は、自在に次元を越えるその能力が欲しいのですよ。そうすれば、我らがロイツェンシュテッド帝国はより強くなる。貴方の血を使えば次元転送魔導が完成するはずだ。たとえばそれで真のドラゴンを召喚できたならば、この忌々しいリアンジュナイルを攻め滅ぼすなど容易いことでしょう!」
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