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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
狙われた店主13
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興奮したように語るデイガーに、『彼』は首を傾げて見せる。
「……血を絞っただけで十分だとでも?」
「それ以上の方法があると仰るのですか? でしたら是非とも知りたいものです」
「この状況でオレが教えて差し上げると思うんですか?」
相変わらず小馬鹿にしたような物言いに、デイガーは困った顔をした。
「それではやはり、死なない程度に血を抜かせて頂くしかありませんね。大丈夫ですよ。こう見えても私はそれなりに優れた魔導士なのです。貴方の貴重な血を無駄にするようなことは致しませんとも」
デイガーの言葉には自信が溢れており、事実それは己の実力に裏打ちされたものだった。
「無駄にしない、ねぇ。随分と自信がおありのようだ。そんなにエインストラのことを知っていらっしゃるんですか? 本当に?」
『彼』の問いに、デイガーはにっこりと微笑んだ。
「エインストラのことはそこまで詳細には存じ上げません。寧ろそんな人間などいないでしょう。いわば貴方は、伝説中の伝説とも言える存在なのですから。しかし、空間魔導であれば私の領分です。何故なら私の契約者は、空間魔法の使い手ですので」
「契約者……?」
「ああ、エインストラはリアンジュナイルにいたせいであまり魔導にはお詳しくないのですね。魔導は契約によって魔物や幻獣などの魔法生物を使役するものなのです。そして、契約主は使役している魔法生物が使う魔法を己の力として振るうことができるのですよ。ね? リアンジュナイルの魔法などより遥かに素晴らしいでしょう?」
実際にデイガーは、生まれつきの精霊との相性で左右されてしまう魔法よりも、力で契約強いる魔導の方が優れていると思っていた。しかし、この発言は自信だけから来たものではないようで、その語り口からはデイガーがリアンジュナイル大陸に抱いている嫌悪のようなものが滲み出ていた。
「本当におめでたいですねェ。魔導とやらが魔法より優れていたとしても、だからと言ってアナタの望むことが成せるという保証はないでしょうに」
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