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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
狙われた店主14
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「いいえ、エインストラ。先ほども申し上げました通り、私が使役している契約者は空間魔法に長けているのです。今いるこの場所も、私が創り出した空間なのですよ。地図にないどころか、術者である私の許可がなければ存在を認識することもできない牢獄。空間そのものを閉じてしまえば、外からの侵入はまず不可能です。素晴らしいとは思いませんか? その力と貴方の血を使えば、必ずや次元を越えた大召喚を成し遂げるでしょう。そもそも、我々は既にリアンジュナイルを攻め落とす算段を立てております。先の戦争にしても、こちらでは帝国軍が敗走したと言われているそうですが、あれは所詮は小手調べ。相手の戦力を把握するために仕掛けたものにすぎません。そう、ここからが本当の大陸間戦争なのですよ」
そういったデイガーが、うっとりとした様子で『彼』の目元を撫でる。
「だからこそ、より確固たる勝利のために、貴方にはその身を捧げて頂きたいのです」
既にデイガーの頭の中に、あの不審な男のことはなかった。あれはあれで注意を払うべきなのだろうが、今はそんな些末事よりも目の前にある至上の生き物が優先だ。どうやってこれを持ち帰るか。血液さえ使えれば良いのだから、いっそ手足を落としてしまった方が良いのかもしれない。ああ、それは名案だ。そうすればこれは逃げることなどできないだろうし、暴れることもないだろう。だが、落とす際はきちんと大きめの容器を用意しなければ。貴重な血液を無駄にするのは少々勿体ない。
そこまで考えたところで、デイガーはふと思う。もしかすると、あの男の目的のひとつはエインストラの確保だったのではないだろうか。このどこにでも居そうな少年がエインストラであることを何かで知って、我が物にしようとしていたのではないか。だとすれば、これは僥倖だ。ここでこのエインストラを手に入れるということは、敵大陸の強大な戦力をこちらに引き込むことに成功したということに他ならないのだから。
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