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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
狙われた店主15
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慈しむように少年の目元を撫でながら、デイガーはより一層笑みを深めた。
「取り敢えず、貴方の四肢は落としてしまいましょう。お前、大きめの桶を持ってこい。ああそれから、血を入れるための瓶も必要だな」
少年の背後の男にそう命じたデイガーに対し、『彼』は呆れ返ったような表情を浮かべた。
「アンタがオレをどういう生き物だと思ってんのかは知らねェが、そんな真似して死なねェとでも?」
嘲るような声で言われた言葉に、デイガーは驚いてまじまじと『彼』を見た。
「まさか、四肢の切断程度で死んでしまうのですか? いや、人間ならばショック死することもあるでしょうが、貴方はエインストラでしょう?」
「生憎この身体はそこまで頑丈じゃなくてな」
肩を竦めてみせた『彼』に、デイガーは納得したように頷いた。
「確かに、その身体は天ヶ谷鏡哉くんのものですものね。しかし、ということは、寄生先の生物に合わせて耐久度が変化するということでしょうか。ああ、それはなかなかに不便だ。よろしければ、代わりの器をご用意致しましょうか?」
「そうホイホイと器を変えられるか。オレの場合、この身体が器であるからこそ意味がある」
「なるほど。詳しいことは判りませんが、私が思っていた以上に複雑なものなのですね。……それでは、大変残念ですが、四肢を落とすのはやめにしましょう」
本当に残念そうな顔でそう言ったデイガーは、しかしその直後、にっこりと人の好さそうな微笑みを浮かべた。
「でも、脚の二本くらいであれば大丈夫ですよね?」
そう言ったデイガーの手には、いつどうやって取り出したのか、大きな斧が握られていた。
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