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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
市街戦2
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「お遊び? ああ、そうだ。こんなもの、ただの余興さ。貴様らリアンジュナイルがいかに平和呆けしているか、思い知っただろう? 簡単に使者を操られた青の国も、半年も帝国の人間を首都に飼っておきながら気づかない金の国も、そして、王の象徴たる王冠をあっさり盗まれた赤の国も! 貴様らの間抜けさ加減には呆れるばかりだったさ! お陰で思っていた以上に事が簡単に進んで助かったけれどね!」
「それは何よりだ。気分が良いついでに此度の一件の目的を教えてくれると大変有難いのだが、さすがにそうはいかんのだろうな?」
「よく判っているじゃあないか。貴様に教えてやることなど何もない!」
そう言ったデイガーの指先が男を指す。と、次の瞬間、デイガーの影からまたもや黒いものが出現し、王に襲いかかった。咄嗟に少年を抱えて庇った王の身体を、炎が盾になるように覆う。しかし、相手の勢いまでは殺すことができなかったようで、踏ん張り切れなかった王は、自らが開けた空間の亀裂に弾き飛ばされた。
(しまった!)
そう思うも、弾かれた身体は亀裂を抜けてしまう。そうして押し出された先は、裏カジノの入り口だった。
実はこの場所は、デイガーの創り出した様々な空間に繋がるゲートのような役割を果たしており、どの空間に繋がるかは、その時々でデイガーが決定しているのだ。つまり、あの裏カジノは地下でも別の場所でもなく、デイガーが生み出した固有空間の中にあったのである。これまでに集めた様々な情報からその答えに至った王は、少年がいる場所へと行くために、このゲートと繋がっている全ての空間の繋ぎ目を破壊し、一時的に全空間に侵入できるようにしたのだ。勿論、それは少年を助けるためであったが、王にはもう一つ目的があった。そう、金の国の市街地での戦闘を避けられればと思ったのだが。
(やはりそう簡単にはいかぬか)
体勢を整えて着地し、すぐさま王が駆け出す。狭い屋内で戦うのは得手ではないし、この国へ及ぶ被害を最小限に留めるためにも、可能な限り開けた場所に出た方が得策であると考えての行動だった。
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