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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
市街戦10
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「っすまん、風霊。助かった」
少年は王が気絶しているのではないかと思っていたが、気絶しているのは幼い少女だけで、王は意識を保っていたようだった。だが、身体の方は酷い有様である。ドラゴンに牙を突き立てられた左腕は肉が裂け、白い骨が覗いているし、左腕自体を魔法の起点に使ったせいか、皮膚の至る所が焼け爛れていた。見ただけでは判らないが、もしかすると骨も砕けているかもしれない。
「ロ、ロストさん、」
あまりの様子に顔面を蒼白にする少年に、王が笑う。
「大丈夫だ、この程度で死にはせんよ。まだまだ戦える」
「で、でも、すごく、痛そうです」
「心配してくれるのか? やはりお前は優しい子だな」
微笑んだ王が、少年の頬に唇を落とす。突然のことに少年は変な声を上げて身を引いてしまい、風霊の支えがなければ王獣の背から転げ落ちてしまいそうだった。
「な、なにして、」
抗議の言葉を言いかけた少年だったが、突如王獣が宙を駆け出し、驚いて言葉を飲み込んだ。
「なるほど、そう簡単に休む暇は与えてくれんようだ」
王の睨む先には、再び牙を剥いて向かってくるドラゴンがいた。と、王獣の周囲に幾つもの魔導陣が浮かび上がる。そしてそこから、炎の矢が降り注いだ。
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