アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の一手2
-
兎に角、勅命に従ったレクシリアは、まずは自分が抜けても大丈夫なように、丸二日の時間をかけて最低限の仕事をこなしつつ、不在の間のありとあらゆる指示を出した。そしてそれが終わったら、休む間もなくすぐさま王宮を飛び出て来たのだ。
王獣ほどではないとは言え、そこいらの騎獣と比べれば、雷を従えるレクシリアの騎獣は速い。そのスピードを生かし、一日足らずでギルガルド王国の首都まで来たところまでは良かったのだが。
「なんだこりゃあ」
首都と郊外のちょうど境にあたる場所に薄い膜のようなものが張っているのを見咎めて、レクシリアは騎獣を止めた。
膜の広がっている範囲が広すぎて全容が定かではないが、どうやら膜は地上から上空までへと曲線を描いて延び、天頂で合わさってドームのようなものを形成しているようだった。
「また随分大掛かりな結界じゃねぇか。ロストの奴、王冠取りに行くだけでどんだけ面倒事に巻き込まれてんだよ……」
「あの男が面倒事に巻き込まれるなんて、今に始まったことじゃあないでしょう。そもそも王冠を盗まれている時点で既に面倒事です。というか、どちらかと言うとあの男が面倒事そのものなのでは?」
「お前な……」
「ほらほら、そんなことよりこの結界とやらをどうにかしてください。少なくとも魔術結界ではないようですから、そうなるとアナタの領分でしょう? 生憎オレは魔法が使えないもので」
グレイに促され、レクシリアが結界に向き直る。グレイが言うように魔術結界ではないとすると魔法結界である可能性が高いが、さて、どうだろうか。魔法結界ならば、地霊魔法と風霊魔法の合わせ技であることが多いが。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
141 / 228