アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の一手3
-
「……いや、そもそも精霊が関わった形跡がねぇな」
「はぁ? 魔法を使ったなら必ず精霊の痕跡が残るって教えてくれたのはアナタじゃあないですか」
「ああ、だからつまり、これは魔法じゃねぇってことだ」
レクシリアの言葉に、グレイが眉根を寄せる。
「どういうことです? “黎明”の名に懸けて言いますけど、これは絶対に魔術ではありません。魔法でも魔術でもないなんて、……まさか」
グレイの呟きに、レクシリアが頷く。
「魔導だ。それもこれは、多分、空間系統の魔導による結界だな。……厄介だぞ。この広範囲を覆う空間結界を張るなんて、一体何と契約したらそんなことができるってんだ」
「そんなに厄介なんですか?」
「ああ、そんなに厄介だ。ただの結界じゃなくて空間結界となると、場合によっちゃ触れただけで別の空間に飛ばされる可能性がある。これだけでけぇ結界張った上で大規模な転送ができるとは思いたくねぇが、万が一ここで他の大陸にでも飛ばされてみろ。戻って来るのに何日掛かるか判ったもんじゃねぇ」
「なるほど、厄介ですね。でも、」
レクシリアの耳を引っ張って振り向かせたグレイが、にっこりと微笑む。
「アナタならどうにかできてしまえるんでしょう? リーアさん」
そんなグレイに、レクシリアが、はぁ、と溜息をつく。
「……お前な、俺を過信するのも大概にした方が良いぞ」
「まさか。過信なんてしていませんよ。だって事実としてアナタ、大概のことはやってのけるじゃあないですか」
「魔導には手ぇ出したことねぇし、見る機会だって少ないから、うまくいくかどうかは知らねぇけどな」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
142 / 228