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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の一手6
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首都ギルドレッドの繁華街のすぐ上を飛ぶ、巨大な生物。漆黒の鱗で覆われた翼を持つそれは、まさしくドラゴンであった。ドラゴンなど、グレイはおろかレクシリアだって実際に目にしたことはない。そもそも彼らはこの次元には存在しない生物だ。それがここにいるということは、つまり。
「次元魔導で召喚したドラゴンを使役したのか!?」
「ドラゴンを使役って、人間にそんなことができるんです? 確かにドラゴンを使役しているなら、大規模な空間魔導のひとつやふたつ、朝飯前なんでしょうけど。でも、彼らはとてもじゃないが人間の手に負える生き物ではないって、ロステアール王陛下が仰っていた気がしますが」
グレイの疑問に、レクシリアが首を横に振る。
「判らねぇ。俺もドラゴンに会ったことなんてないからな。だが、あれが本当にドラゴンだとしたら、俺たちに勝ち目はねぇぞ」
きっぱりと言い切ったレクシリアだったが、本気であの漆黒の竜に勝てないと思っている訳ではない。本当に勝てない相手であれば、グランデル国王が自分たちをここに呼ぶはずがないからだ。
当代のグランデル王は歴史上最も優れた賢王である。何よりも己が民を第一とし、民の総意に違うことなく国を導く至高の王なのだ。その王が誤ることなど万が一にもなく、王が示す道は全てが最良である。
「だがまあ、民である俺がここに居るってことは、そういうことなんだろうよ」
僅かな疑いすらなくそう言ったレクシリアに、グレイが心底呆れたという顔をする。
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