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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の一手7
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「相変わらずアナタはあの男のことが大好きですねぇ」
「別に大好きってこたぁねぇだろ。そりゃまあ嫌いじゃあねぇけど」
「はいはい、無自覚なのは知ってます。全く、これだから宗教国家は」
だからグランデルに宗教の縛りはねぇよ、と反論しようとしたレクシリアだったが、ふと風の流れが変わるのを感じて口を閉じた。そのまま風が来る方へと目を向ければ、そこにいたのは風霊だった。グレイの方は魔法適性がないため精霊の姿など見えなかったが、風が吹いてレクシリアが反応したことから、風霊が傍へ来たのだろうことは察せられた。
何か用かと首を傾げたレクシリアに、風の乙女がすっと近づいて、その耳へと口を寄せる。内緒話をするように小さく囁かれた言葉に、レクシリアは思わずといった風に口を開けた。
「はぁ!?」
「ちょっと、いきなり大声を出さないでくださいよ。一体何だって、」
「ライガ! 全速力で近づきつつ、あのドラゴンの死角になる場所に降りろ!」
グレイの言葉を遮って、レクシリアが叫ぶ。同時にライデンが加速し、グレイは慌ててレクシリアの腰に回している腕に力を籠めた。レクシリアの風霊魔法のお陰でライデンの背中から落ちることはまずないのだが、それでも急加速されると反射的にしがみついてしまうのだ。
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