アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流1
-
局所的なにわか雨が上がり始める中、赤の国の王獣が地面に降り立った。その背からまず王が飛び降りてから、未だ気絶している少女を抱いた少年に手を差し出す。
差し出された手を見つめて動かない少年に、王が首を傾げた。
「降りるのに助けがいるかと思ったが、いらないか?」
「あ、いや、」
「ああ、さすがにその子供を抱えたままでは無理か。では、その子はグレンの背に乗せておけばいい。風霊が落ちないように支えてくれる」
だったら僕のことだって風霊に支えさせれば良いのでは、と思ったし、そもそも王の左腕は酷い状態だ。だらりと下げられたままの腕は、やはり骨が折れているのだろう。
「貴方の腕、酷い怪我ですし……」
「気にすることはないというのに。ほら、血も止まっているだろう?」
「いくら血が止まっていたって、痛いでしょう?」
何せ、左腕にある傷口は、そのほとんどが焼け爛れている状態なのだ。王が自らやったことではあるものの、傷の状態から察するに、少年が思っている以上の痛みがあるはずである。
「心配してくれるのか。やはりお前は優しいな」
「え、いや、」
やたらと嬉しそうに微笑んだ王に、少年が困惑する。この状況で王の心配をしない方がどうかしているだろうに。
「だが、大丈夫だ。そこまで柔ではない」
そう言った王が、差し出していた右腕を伸ばして少年の腰に回す。そのまま、王は片腕で軽々と少年を抱き上げてしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
154 / 228