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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流2
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「う、わっ、」
驚いて思わず王の肩にしがみついた少年に、王が笑う。
「安心しろ。落としはせんよ」
「いや、あの、そういう問題じゃ、」
「左腕は使っていないからな。問題ない」
だからそういう問題じゃない。そう思った少年だったが、何を言ったところでこの王はあれこれ理由をつけて少年を離しはしないだろう。仕方なく、王の腕の中で大人しくすることにする。
「……そういえば、あの、竜みたいなのとオーナーの人は、どうなったんですか……?」
「ああ。……撃退はしたが、逃がしてしまった。やはり厄介だな、あの空間魔導は」
つまり、倒しきれなかったということらしい。空間魔導が厄介だという発言から察するに、空間魔導で逃げおおせたのだろうか。魔導については魔法や魔術以上に明るくない少年だったが、あのデイガーという男の能力がとても高いようだということだけは判った。
「だが、あれだけならば、そこまで脅威的というほどでもないさ」
「はあ」
少年が間の抜けた返事しかできないのは、未だに状況をきちんと把握できていないからだ。
「……というか、貴方、そういえば、……国王陛下、なんですよね……」
激しい戦闘に巻き込まれたせいですっかり頭から飛んでいたが、そうだった。この目の前の赤い男は、あろうことかグランデル王国の国王陛下なのである。そんな人に多分二度も助けて貰った挙句、あまつさえ王獣の背中に乗るなど。
考えただけで不敬以外のなにものでもない。これが銀の国や青の国だったら、もしかすると首が飛んでいたかもしれないほどだ。いや、赤の国は温厚な国だと聞いているけれど、本当のところを知らない以上、やっぱり打ち首になる可能性はある。
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