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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流3
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さっと青ざめた少年に何を思ったのか、王は彼をそっと地面に降ろしてから、その黒紫の髪に唇を落とした。
「ひゃっ、な、なんですか……?」
「そう心配そうな顔をするものではない。お前のことは私が守る」
「は、はぁ……」
やっぱり別にそんな心配をしていたわけではないのだけれど。
しかし、あのときのような息が止まるほどの輝きこそないものの、改めて見ると、グランデル王は本当にきれいな人だと少年は思った。特に、この瞳が良い。炎を内包する金色の瞳は、こうして間近で見ているだけで蕩けてしまいそうだった。
少しだけ惚けかけた少年が、慌ててそっと視線を落とす。王の口のあたりを見ておけば、取り敢えず思考が疎かになることもないだろう。
とにかく、この王に自分を処罰する気はないらしい。そう思えたことで安心したのだろうか。忘れていた痛みが急に戻ってきて、少年は思わず自分の腿を見た。そして、自分の肉に深々と刺さるナイフに、また青褪める。王の命令による風の加護はまだ生きているのだろうけれど、それでもじくじくとした痛みと熱が感じられた。
「痛むか?」
「え、あ、……はい。でも、貴方に比べたら、全然」
「だが痛むのだろう」
そう言った王が、再び少年を抱き上げようとする。だが、少年は今度こそそれを固辞した。自分より大怪我を負っている国王陛下に、そこまでさせるわけにはいかない。いや、もう十分すぎるほど色々とさせてしまっているのだが。
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