アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流11
-
「おい、そこの大層頭がイカれていらっしゃる国王陛下の言うことなんて真に受けることねェぞ。放っとけ放っとけ」
「え、あ、いや、」
「口が悪い奴ですまないな。性格がひねくれているだけで、悪気はないのだ。許してやって欲しい」
「聞こえてますよ王サマ? ……というか陛下、アレはどうされたんです? 見たところお持ちではないようなんですが」
片眉を上げたグレイに、王が思い出したような顔をする。
「ああ、そうだった。敵の本拠地への突入時に全て風霊に任せたのだった」
「ハァ? どういうことです?」
「そこに見えるバーの地下に複数の空間と繋がるゲートがあったのだが、生憎お前から貰った腕輪ではキョウヤがいる空間しか判らなくてな。仕方がないので、すべての空間へ行けるようにゲートを空間ごと破壊し、アレは風霊に虱潰しに探して貰ったのだ」
「……相変わらず無茶苦茶だな、アンタ」
どこかで風霊が持っているのではないだろうか、と言った王が風霊の名を呼べば、風が布袋を運んできた。それを受け取って中身を確かめた王が、ひとつ頷く。
「これだこれだ」
「これだこれだって、そもそもの目的はそれを取り戻すことだったと思うんですが」
「結果的に戻ったのだから、そう固いことを言うな。ああ、そういえば、あの腕輪なのだがな」
「はい。オレが王陛下専用に冠位錬金魔術師の腕によりをかけてお作りした特別製の腕輪がいかがなさいましたか?」
既に王の次の言葉の予測がついているらしいグレイが、お手本のような微笑みを浮かべた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
164 / 228