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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流12
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「そう怒るな。いや、大層役に立ったぞ。お陰でキョウヤの居場所を知るのに労を掛けずにすんだ。空間を隔ててもなお作用するとは、さすがは冠位を戴く錬金魔術師といったところか。だがまあ、すまん。壊れた」
しれっと言われた最後の言葉に、グレイがにっこりと笑みを深める。
「今、なんと?」
「いや、だからな。ゲートを破壊するのに火霊魔法を使った訳なのだが、どうやらその拍子に壊れてしまったようなのだ。使い勝手はなかなか悪くないのだが、やはりどうにも脆い。もう少し耐久力を持たせられんものか?」
一切悪びれる様子なく、寧ろ図々しく要求まで突き付けてきた王に、グレイが肩を震わせて、そして、
「テメェの火霊適性が馬鹿高ェのが悪ィんだろうが! あれを身に着けてるときは常に魔力の調整を心掛けろってあれほど言ったのにもう忘れたのか馬鹿! 調整下手の癖に威力だけは桁外れなアンタのために、耐久度を限りなく上げた品だぞ!? それを魔法一発放っただけでぶっ壊すって、オレの苦労をなんだと思ってんだテメェ!」
「だからすまんと言っているだろうに」
やはり悪びれない王に、グレイがいよいよ眉を吊り上げる。
(も、もしかして、僕が貰った指輪と何か関係があるのかな……)
そう思った少年が、控えめに王の服の裾を掴む。本当にそっと触れたはずだったのだが、きちんと気づいてくれた王は、少年を見て柔らかく微笑んだ。
「どうした? キョウヤ」
「あ、あの、僕が貴方に貰った、指輪……」
おずおずと言われた言葉に、王が少年の頭を撫でた。
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