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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流13
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「ああ、確かにあの指輪もグレイが錬金魔術で作ったものだ。私が持っていた腕輪と対になっていてな。腕輪に魔力を籠めれば、指輪のある距離と方角がある程度判るという優れものなのだ」
「あの、腕輪は壊れてしまったのかもしれないんですが、指輪なら、多分、まだ、ちゃんと平気だと思います」
そう言った少年が、ポケットから指輪を取り出してグレイに差し出す。その行動に少しだけ面食らったらしいグレイは、まじまじと少年を見つめてから、指輪を受け取った。
「……ありがとな」
「え、いえ、僕の方こそ、その指輪のお陰でロストさ、陛下に、助けて頂けたみたいなので。あの、ありがとうございます」
「良いよ、気にすんな」
控えめに頭を下げて礼を言う少年に、グレイはすっかり毒気を抜かれてしまったらしい。
「キョウヤ、別に今まで通りロストと呼んでくれて構わないのだぞ? 陛下などと他人行儀なことを言わずに」
「僕、別にそんなに貴方のお名前を呼んだことはないと思うんですが……。…………それに、」
そこで、少年は一度口を閉じた。次の言葉を続けるかどうか迷ったのだ。
「それに?」
「……それに、貴方はとてもきれいだから、あの、ロスト、というのは、なんだか似合わない気がします」
少年の言葉に、グレイが僅かに目を見開く。同時に、王が破顔して少年を抱き上げた。
「ひゃっ」
小さな悲鳴を上げた少年を両腕に抱き、王はグレイも聞いたことがない酷く甘ったるい声を紡いだ。
「ああ、私もお前を愛しているよ」
そう言って王は、少年の唇に自分のそれを重ね合わせた。それは王からすればごく自然で当然の行為だったのだが、少年にとっては全くそんなことはない理解不能の行動だったので、彼はピシリと固まってしまった。ついでにそれを見ていたグレイも固まっていた。
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