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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
合流14
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一方の王は、幸せいっぱいの表情で少年の唇を啄んでいたのだが、我に返ったグレイに思い切り後頭部を引っぱたかれて、眉を寄せて振り返る。
「いきなり何をする」
「そりゃこっちのセリフだ。何してんだアンタは。グランデル国王が嫌がる少年を無理やりどうこうとか、そんな噂が流れてみろ。国の恥だ。ひいてはリーアさんの恥だ。アンタが恥かくのは勝手だが、リーアさんを巻き込むな」
「別にキョウヤは嫌がっていないだろうに。なあ、キョウヤ?」
「あ、あ、」
顔を赤くしたり青くしたりと忙しい少年を見て、グレイが呆れた顔をする。
「どう見ても嫌がってんだろうが。読心術は、陛下の得意中の得意技でしょう?」
「混乱してしまっているだけだ。かわいいだろう?」
「……何言ってんだアンタ」
そもそも、私もお前を愛しているって、どういうことだ。も、ってなんだ。文脈がおかしい。
そう思ったグレイだったが、この王とまともに会話をしていると疲れるだけなので、これについて追及することは諦めた。疲れるし、面倒だし、興味もない。レクシリア宰相をはじめとしたグランデル国民は興味を持ちそうだけれど。
そんなことを考えながらグレイがふと顔を上げると、夜空に何かがいるのが見えて、彼は目を凝らした。暗くて判りにくいが、それはどうやら暗い色の騎獣で、こちらに向かって来ているようだった。
徐々に近づいてくるそれは、鋭く大きな牙を持つ逞しい騎獣だった。大きさは、ライデンより少し小さいくらいだろうか。騎獣鎧に描かれている国章を見れば、それがギルガルド王国軍の騎獣であることが判った。
「ギルヴィス王が来たか」
王の言葉に、グレイが頷く。
騎獣の背に乗っていたのは、王国軍の師団長と、ギルディスティアフォンガルド王国国王、ギルヴィス・ビルガ・フォンガルドだった。
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