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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王2
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「それよりも、私こそ大変申し訳ないことをした。なんとか貴殿の民には危害が加わらないように努めたが、建物までは手が回らなかった」
「何を仰います。現在被害状況の確認をしている最中ではありますが、ドラゴンの襲撃にあったとは思えないほどに、建物への被害は極僅かです。流石は武勇に名高きロステアール王。我が国をお守り頂きましたこと、心より感謝申し上げます」
「貴殿にそう言って頂けると、私も少し気が楽になるな」
微笑んだ赤の王に、ギルヴィスも笑みを返す。次いでギルヴィスは、赤の王の背後に控えていたグレイの方を向いた。
「久しぶりですね、グレイ。つつがないようで何よりです」
「ありがとうございます、ギルヴィス王陛下」
「先ほどの戦いの様子は、遠目ながら私も見ていました。……とうとうあの魔術を完成させたのですね。まったく、貴方の優秀さには驚くばかりです」
ギルヴィスの言葉に、グレイは少しだけ苦い表情をした。
「やはりバレましたか……。あれ、銀の国あたりに知られると面倒なことになりそうなんで、できれば隠しておきたかったんですが……」
「ロステアール王が極限魔法を使ったことはすぐに全ての円卓の王に知れるでしょうし、では何故この一帯がほとんど無傷だったのか、という話にまで発展する可能性は高いですね。そうなれば、貴方たちのことも説明せざるを得ないかもしれません」
そう言われ、グレイはますます顔を顰めた。そんな彼を見て、ギルヴィスが微笑む。
「貴方が偉大な魔術を完成させたのは事実なのですから、いっそ誇ってしまったら良いのですよ。それでこそ、“黎明”の名を授けた甲斐があるというものです」
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