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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王4
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「ところで、そちらの方は?」
ギルヴィスの赤い瞳に見つめられ、少年は思わず赤の王の服の裾を掴んでしまった。だが、すぐにその顔が少しだけ惚けたものになる。金の国の王は、少女と見紛うほどに甘やかで美しい顔をしており、美しいものに弱い少年にとっては、なかなか直視しがたいものだったのだ。
とろん、とした表情のまま何も言わない少年の頭を撫でてから、赤の王が代わりに答える。
「キョウヤ・アマガヤという。この国に住んでいる、貴殿の民のひとりだ。色々な事情が重なり、此度の一件に巻き込んでしまった」
「我が国の民でしたか。それは失礼を致しました。ドラゴンまで関わるような大事件に巻き込まれたとあれば、大層疲れたことでしょう。もしよろしければ、皆さま、我が王城に招かれてはくださいませんか? ロステアール王とはまだお話したいことがありますし、キョウヤさんとグレイと宰相殿は、少しお休みになった方が良いでしょう」
ライデンの上で気絶しているレクシリアをちらりと見て、ギルヴィスがそう言った。
「それは有難い。それでは、お言葉に甘えることとしようか」
そう言った王がグレイを見れば、グレイも無言で頷いてから、ギルヴィスに深く礼をした。
困ったのは少年である。この場にいることすら場違いも甚だしいのに、王城へ行くなどもってのほかだ。畏れ多いし絶対に居心地が悪いに決まっていると、断ろうと思ったのだが。
「お前も一緒に来るだろう?」
太陽と炎を混ぜたような金の瞳に見つめられてしまったら、何も考えられなくなってしまう。とろりと溶けた思考のまま、なんとなくぼんやりと頷いてしまった少年がはっとしたときには、もう遅かった。
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