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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王7
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王城に着いてすぐに、一行は国賓用の応接間へと通された。無論、意識のないレクシリアだけは別室のベッドに寝かされているが。
なんだかんだでここまで連れてこられてしまった少年は、金糸で刺繍が施されている豪奢で柔らかなソファに恐る恐る座りながら、あまりの居心地の悪さにずっと下を向いていた。
そんな少年に、隣に座っているグレイの探るような視線が突き刺さり、彼はますます委縮してしまう。そんな少年の様子を見かねたのか、王が少年の頭を撫でた。その際に少年の肩がびくりと跳ねるのは、当然のごとく気にする様子がない。
「そうじろじろと見るな。キョウヤが怖がってしまう」
「いや、本当にオレに似ているなと思いまして。そういえば、国王陛下はその理由についてご存知なんですよね? そろそろ教えて貰えませんか?」
口調こそ丁寧だが、醸し出す雰囲気が、教えないとただじゃおかねぇぞ、というグレイの内心を伝えてくる。だが、別に隠すつもりなど最初からなかった王は、グレイの予想に反してあっさり頷いた。
グレイが自分と似ている点については少年も気になっていたので、そっと耳を傾ける。
「確証はないが、まあ、別の次元での兄弟だとか、大方そんなところだろう」
「……ハァ? どういうことだ」
「そのままの意味だ。魂というものは、基本的に輪廻の中にある。例えばお前が死ねば、お前の魂は輪廻を経て再びどこかに生まれ落ちるわけだが、その先が同じ次元とは限らんという話だよ。だがまあ、魂はひとつしかないのだから、基本的に同じ時間軸に同じ魂が二つ存在することはあり得ない。しかし、そこでまた厄介なのが、次元を隔てれば時間軸もずれるという事実だ。それにより、すべての次元を眺められる大局的な視点、まあいわば神の視点なわけだが、そこから見れば全く同じ時に同じ魂が二つ存在する、ということもあり得てしまうのだ」
王の説明に、既に少年は理解することを諦めそうになっていた。少年には難しくて、内容がよく判らないのだ。しかし、それはどうやらグレイも同じだったようで、彼は眉を寄せて王を睨んだ。
「おい、要点がはっきりしねェ。もっと簡潔に話せ」
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