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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王9
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「あ、あの、そういえば、えいんすとら? って、」
そういえばそれについても説明して貰えるはずだった、と思った少年が言いかけたとき、扉をノックする音が部屋に響いた。
「どうぞ」
赤の王が扉に向かってそう言えば、ゆっくりと開いた扉からギルヴィス王が入ってきた。彼一人しかいないところを見ると、どうやら付き人もつけずに来たらしい。
「お待たせしてしまい申し訳ありません」
「いいや」
赤の王が笑ってそう言えば、ギルヴィスも微笑みを返した。
「それじゃあ、オレは休ませて頂いてもよろしいですか? なにせどこぞの王陛下が無茶を言ったせいで、ろくに眠れていないものでして」
「それはすぐに休んだ方が良いですね。部屋を用意させましょう」
そう言って使用人を呼ぼうとしたギルヴィスだったが、グレイがそれを制止した。
「お心遣い感謝しますが、そこまでお手を煩わせるわけには。ロンター宰相と同じ部屋で休ませて頂きますので」
「しかし、あの部屋にはベッドがひとつしかありませんよ?」
「空いてる隙間に適当に潜り込むので、大丈夫です」
どうやら同じベッドで眠るつもりらしいグレイに、少年は少しだけ驚いてしまった。自分だったら、誰かが隣にいるような落ち着かない状況で眠るなんて不可能だ。そもそもあの宰相は体格が良いし、一緒のベッドに入るのは窮屈そうである。
「そうですか。それでは、ロンター宰相がお休みになっている部屋まで案内させましょう」
少年のやや的外れな心配をよそに、グレイはギルヴィスに命じられてやってきた女官に連れられ、出て行ってしまった。どうやら本当に同じ部屋で休むらしい。
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