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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王12
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「彼の右目が、エインストラの証拠足り得るのですか?」
「書物にある記述に酷似している、というだけだ。だが、あれは本来次元を越えるときにのみ現れる特徴のはず。この子の場合は、どうやら常にその状態なようだし、そもそもその特徴が出ているのが片目だけだ。まあ、力のコントロールがうまくできない幼体である可能性がないとは言い切れんが……」
そこで言葉を切った赤の王が、優しい顔をして少年を見た。
「お前は、エインストラではないのだろう?」
「し、知りません、けど……、僕は、ただの人間だと、思います……」
「だそうだ。キョウヤが嘘を言っているとは思えぬし、仮にエインストラだったとしても、少なくとも本人にはその自覚がないのだろう」
赤の王の言葉に、ギルヴィスはなるほどと頷いた。
「しかし本当にエインストラだったとしたら、それは一大事ですね」
「そうだな」
二人のやり取りに、少年は内心でとても不安になってしまった。一大事、とは、どういうことだろうか。
そんな少年の心を読んだように、赤の王は少年に目をやった。
「そういえばお前はそもそもエインストラを知らないのだったな」
「あ、……はい」
「エインストラとは、神の目とも呼ばれる伝説上の生き物だ。幾千幾万もある次元渡り歩いている存在で、神の僕とも呼ばれる。その次元に合わせて姿を変える、不定形のなにか。……聞いたことはないか?」
赤の王の問いに、少年は首を横に振った。もともとそんなに教養がある方ではないし、そうじゃなかったとしても、この話はあまり一般的なものではない気がする。
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