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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王13
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「では、次元の存在は知っているか?」
「聞いたことはあります。確か、僕たちがいるこの世界とは全く異なる世界がたくさんあるとか」
「その通りだ。……そうだな、ギルヴィス王、なにかこう、水盆と浮き球のようなものはないか?」
言われ、ギルヴィスがすぐさま女官に命じてそれらを用意させる。女官から水盆と浮き球を受け取った赤の王は、それを机に置いて、水面にいくつか浮き球を浮かべた。そして、浮き球のひとつを指先でつつく。
「これが私たちの存在する次元だとすると、他の浮き球たちが別の次元にあたる。そして、これらの浮き球全てを含む水盆を管理しているのが、リアンジュナイル大陸の人間が神と認識している存在だ。ああいや、宗教の中に存在する神とは違う。あれらは全て、ヒトの信仰が創り出した概念のようなものだからな。勿論、概念が命を持つことはあり、神話や宗教の上に成り立つ神というのはその集大成のひとつであるが、私が言っている神とはまったく違う。私が今“神”と呼称しているのは、ありとあらゆるものを統括管理している生命体のことだ。それを便宜上、我々は“神”と呼ぶことにしている」
赤の王の言葉に、ギルヴィスが頷く。
「キョウヤさんも、この大陸の創世の物語は聞いたことがあるでしょう? 天界における最高権力者、太陽神と月神の直属の配下である四大神によってリアンジュナイル大陸が形成された、というあれです。炎の神は赤のグランデルを、水の神は青のミゼルティアを、大地の神は橙のテニタグナータを、風の神は緑のカスィーミレウを、それぞれお作りになられた。それがいわゆる、始まりの四大国です。そしてそこに他の地からやってきた人々が根付くことによって、今のリアンジュナイル大陸ができあがった」
「は、はい。それは、なんとなく聞いたことがあります。でも、あれって神話のお話なのでは……?」
少年の疑問に、赤の王が少し笑って首を横に振った。
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