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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王15
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「そうなのだ、エインストラはあらゆる意味で規格外の生き物。こと次元能力に関しては、右に出るものなどそれこそ神しか存在せん。だからこそ、帝国はエインストラが欲しいのだ。連中は十年以上前から、次元魔導にやたらとこだわっていたからな。エインストラの能力を使い、どこか別次元から強大な魔物でも召喚して使役するつもりなのだろうよ」
「はあ、なるほど……」
気の抜けた返事をした少年だったが、ギルヴィス王の方は深刻そうな表情を浮かべていた。
「キョウヤさんが本当にエインストラかどうかは置いておくにしても、現状帝国側にそう思われてしまっている以上、今後も貴方が狙われる可能性は高いです」
「そ、そうなんですか……」
いきなりそんなことを言われても全く実感が湧いて来ず、少年は困惑してしまった。それをどう受け取ったのかは判らないが、ギルヴィスは優しそうな笑みを浮かべて少年を見た。
「心配することはありません。貴方は我が国の民です。ギルガルド国王の名に懸けて、必ず守ってみせます」
「幸い私も隣国に住んでいる身だ。お前に何かあったときは、グレンに乗ってすぐに飛んでこよう」
王様がそんなに簡単に国を空けて良いのだろうか。そう思った少年だったが、やはりそれを指摘することなどできないので、曖昧な微笑みを浮かべて礼の言葉を述べておく。
相変わらず話の全てについていけたわけではないが、それでも判ったことはある。
(まず、帝国が僕をエインストラという希少生物だと勘違いしていること。そのせいで今後僕は帝国に狙われるかもしれないこと。そして、ロステアール国王陛下はとてもきれいな人で、……僕のことが好きなのかもしれない、ということ)
最後のひとつに関しては未だに半信半疑だが、少なくとも少年が見る限り、赤の王が嘘をついているようには思えなかった。
(でも、もしそうだったとしたら、僕みたいな汚い子供のどこか良いんだろう……)
そっと窺うように赤の王に視線をやれば、ぱちりと目が合った。慌てて目を背けようとした少年だったが、その前に王が金の目を細めてふわりと微笑んでしまったので、少年の思考と表情はとろんと蕩けてしまうのだった。
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