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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王16
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今回の一件と今後の対策について、ひと通りの説明をした後、結局少年は自宅へ帰すことになった。赤の王としてはもう少し共にいたいところだったが、慣れない王宮に気疲れを起こしているようだったため、ギルヴィスが気を回して帰宅させたのだ。勿論、抜かりないギルヴィスは、自宅に就くまでの間の護衛をつけたし、少年の私生活の邪魔をしないようこっそりとではあるが、周辺に警備を敷くよう指示も出してある。
「しかし、本当に一大事ですね」
二人きりになった部屋で、ギルヴィスが赤の王を見上げる。
「大事も大事だぞ。キョウヤの手前ああ言ったが、キョウヤがエインストラでないとは限らん。仮に本当にエインストラだった場合、帝国の手に渡れば脅威となる。それだけは阻止せねば」
「帝国は、次元魔導を使って何を喚び出す気なのでしょうか……」
「さてな。何にせよ、ろくなことにならんことだけは確かだ。……帝国側がそこまで間抜けだとは思いたくないが、万が一ドラゴンでも召喚しようものなら、この世界が丸ごと滅びかねんぞ」
赤の王の呟きに、ギルヴィスは目を丸くした。
「そんなにも、ドラゴンとは強大な生き物なのですか? いえ、しかし、そもそもドラゴンの召喚はもう成功しています。だからこそあの黒い竜が襲ってきたのでしょう? そしてロステアール王は、そのドラゴンを圧倒したではありませんか」
相手の発言の矛盾を正そうとしたギルヴィスだったが、赤の王はゆっくりと首を横に振った。
「それは違う。何故なら、あれはドラゴンではないからな」
「ドラゴンでは、ない……?」
「ああ。あれはドラゴンではなく、ドラゴンと呼称されているトカゲだ、とでも言えばいいのか。私もドラゴンについて詳しいわけではないのだが、あれが違うことくらいは判る。というよりも、恐らく、ありとあらゆる世界においてそう呼称されているもののほとんどはドラゴンではないのだろう。……貴殿はドラゴンがどんな生き物か知っているか?」
問われ、ギルヴィスは少し考えた後に口を開いた。
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