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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王17
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「私たちのいる次元には存在しない生き物です。固い鱗で覆われた肌と皮膜のある翼を持ち、人と会話が成り立つほどの知性を持つ有力種です」
「ふむ。それは恐らく、世間一般的には正しい知識だ。或いは、ほとんどの次元でそういう認識なのやもしれぬ。しかし、貴殿のその知識は間違っているな」
「間違っている、ですか。では、正しいドラゴンとは何なのですか?」
ギルヴィスの当然の疑問に、赤の王は苦笑した。
「正しいドラゴン、と言われると私も困ってしまうが、……そうだな。会えば自然と判るのだ」
「会えば判る、のですか……?」
「ああ、判るとも。一目見ただけで判る。ギルヴィス王、貴殿はドラゴンを有力種と言ったが、それは違う。本当の竜種とはすなわち最強種。ありとあらゆる次元に生きる存在の中で最も強く、気高く、賢い。それがドラゴンなのだ。故に、人間がいくら束になろうとも、ドラゴンに敵うことはない。それどころか、傷のひとつすら付けられないだろう。そしてそれは何も人間のみに限ったことではない。恐らくは、全次元に生きるほとんどすべての生き物が、ドラゴンの足元にも及ばない存在なのだ。エルフの王ならば或いはその高みに届くこともあるのやもしれんが、それでも竜種の地位は揺らがない」
ふ、と息を吐き出した赤の王が、ギルヴィスを見つめる。
「ドラゴンに勝てる生き物がいるとすれば、それはもう、我々が神と呼称している存在しかない。尤も、私がそう思い込んでいるだけかもしれんが」
静かな声に、ギルヴィスはただ黙って赤の王を見つめ返した。
「……ロステアール王は、ドラゴンに会ったことがおありなのですね」
確信を持ったその発言に、赤の王はふっと微笑んだ。
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