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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
金の王19
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「まあ、仮にもドラゴンを召喚しようと思ったのならば、それこそ集められるだけの文献を集めてかかるだろう。その中には私が今話したような正しい知識も含まれているはずだ。よもやその上でなおドラゴンをどうこうしたいなどとは考えないと思いたいが、……さて、どうだろうな。少なくとも帝国の次元魔導は著しい発展を見せている。もう彼らにドラゴンの召喚などできるはずがないと言い切れはしないだろう。エインストラの力が加わったとすれば、なおさらのことだ」
「……なるほど。私が思っていたよりも遥かに大事だということがよく判りました。これはもう、我ら二国間でどうこうできる問題ではありません」
「その通りだ。よって、貴殿には私の名の元に、円卓会議の開催を要請して頂きたい」
円卓会議。それは、円卓の連合国である十二国が一堂に会し、リアンジュナイルの全国家に関する事柄を相談する場である。
「私も急ぎ本国へ戻るが、グレンの足でもそれなりに時間がかかってしまう。故に、私に代わって先んじて開催の要請をするようお願いする。この年末の忙しい時期に臨時会議を開かせる以上、早めに連絡するに越したことはないだろう。緊急につき、各国“門”を使って貰うことになってしまうが、これも合わせてご容赦あれと伝えておいて欲しいのだ。頼めるだろうか?」
赤の王の言に、ギルヴィスは敬意を込めて浅く一礼した。
「ロステアール王の要請、このギルヴィスがしかと全国家にお伝えしましょう。……ロンター宰相への伝達もお任せください。お目覚めになったらすぐに事の次第をご説明しましょう。そんなことをすれば彼の場合、起き抜けにすぐさま帰国してしまいそうで少し気の毒ですけれど」
「あれはあれで私に尽くすのを楽しんでいるのだ。気にすることはない」
そう言ってのけた赤の王に、ギルヴィスは赤の国の宰相の心中を思って苦笑した。
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