アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議1
-
赤の王がグランデル王国へ帰国してきっかり一日後。赤の国王の生誕祭が開かれる三日前に、円卓会議は開催された。
リアンジュナイル大陸に属する十二の国の王が一堂に会すこの会議は、円環状に広がる大陸内海の中央にある小島で開かれる。いや、正確には、小島に建っている塔の内部と言うべきだろう。
小島はひとつの山で構成されており、その中央が大きく抉れ、底の見えない奈落になっている。そしてその巨大な穴の中心に、神の塔と呼ばれる塔は建っていた。
神の塔とは、始まりの四大国が創られる前よりこの世界に存在する、地上と天界を繋ぐ扉であるとされている。洞を穿つ根は闇に包まれ終わりが見えず、頂きは雲に覆われ果てがない。まさに、地の底より建ち天高く聳える塔。円卓会議は、この荘厳な神域にて行われるのだ。
各国の王は、会議が開かれるのに合わせて神の塔に集う。決まった時期に定期開催されている会議では、数日をかけて随従の一人と共に塔まで向かうこととなるのだが、この度赤の王が開いたのは緊急の会議である。このような場合、悠長に島を目指して旅をする猶予はない。こういった事態に対応するために存在するのが、“門”と呼ばれる装置だ。この装置は十二国の王宮すべてに存在しており、その原理や法則は全くの不明だが、王を神の塔へと転送するなにかであった。
王のみが使用することができる、王専用の転送装置。王は自国の“門”をくぐり抜けることで、即座に塔の内部に移動することができるのだ。ただし、この“門”が開かれるのは緊急時のみである。一体誰か何を以て緊急時だと判断しているのかは判らないが、平常時に“門”が活性化することはなかった。
だがどうやら今回は緊急であると認められたようで、会議の場にある円卓には、“門”を介してやってきた各国の王が並んでいた。銀から始め時計回りに、緑、萌木、黒、薄紅、赤、金、橙、黄、白、紫、青の色の椅子が円卓に配置されている様は、まさにリアンジュナイル大陸そのものである。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
187 / 228