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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議2
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各王が己の国の椅子に座するのを見回し、緊急会議を開いた当人である赤の王が口を開いた。
「急な招集にも関らずお集まり頂き、感謝する」
そう礼を述べた赤の王は、それからいくつかの空席に目を留めた。
「黒と萌木と紫の席が空いているようだが」
「黒は常の通り無断欠席。萌木と紫からは、年越しと年迎えの儀に忙しく欠席すると言伝を預かっている」
赤の王の問いに答えたのは、鋭い目つきをした老王、銀の国エルキディタータリエンデの国王だ。切って捨てるような響きを持った言葉に、赤の王が言葉を返す。
「なるほど。しかし、此度の議会の開催主である私は何も聞いていない。開催主に何の一報もないというのはいかがなものだろうか」
「庶子とは口が利きたくないのであろう」
「エルキディタータリエンデ王!」
嘲笑した銀の王に怒気を孕んだ声を上げたのは、金の王だった。がたりと音を立てて立ち上がった幼王が、銀の老王を睨みつける。
「その言葉、即刻お取り消しください!」
「これはこれは、幼い王が何を申すかと思えば、私に事実を抹消しろと? さすがに私もそのような改ざんはできかねるな。年若い故に夢物語や妄想を楽しむのも仕方がないのかもしれぬが、もう少し現実を見るよう勧告しておこう。よろしいかな、スレイシス殿」
銀の王が口にしたスレイシスという呼称に、金の王は頬を紅潮させた。その名は、彼が王位に就く前に名乗っていた幼名である。それをこの場で呼ぶということはすなわち、金の王を国王として認めていないという意思表明に等しかった。
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