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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議3
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「おいおい、さすがにその呼び方は失礼じゃないのか、エルエンデ王。ギルガルド王も落ち着け。今のお前さんじゃ、あのじーさんには口でも腕っぷしでも敵わないぞ」
金の王を庇うように口を出したのは、金の王の隣に座す男だった。ひときわ大柄で筋肉質な彼は、橙の国テニタグナータの国王である。
「しかし、出自で人を嘲るなど、王としてすべき行いではありません!」
怒り冷めやらぬ様子で声を荒げる金の王に、別に構わないでしょうと右側から声がかかった。声のした方を向いて、金の王は眉間のしわを深くする。
「貴方までそのようなことを仰るのですか、シェンジェアン王……!」
咎める金の王に、薄紅色をした長髪の美女、薄紅の王は、麗しい笑みで応えた。
「だって、庶子というのは紛れもない事実でしょう?」
「事実であれば、出自で人を貶めて良いと言うのですか!」
その言葉に、薄紅の王は手にする扇で口元を隠し、あらぁ、と首を傾げた。
「妾、貶めるつもりなんてないわ。だって興味がないもの」
いっそあっけらかんとした風に言われ、金の王は一度開いた口を、何も発さずに閉じた。彼女には何を言っても通じないと判っていたし、実際に薄紅の王に侮辱の意図はないと知っていたからだ。
金の王が大人しく椅子に座り直したのを見て、赤の王が再び口を開く。
「とにかく、開催国に何の連絡もなしに欠席するのはやはり問題だ。庶子の王が相手とは言え、それを理由に公務を疎かにするのはいかがなものだろうか。エルキディタータリエンデ王のお手を煩わせるのは申し訳ないが、その旨、お伝え頂ければ有難い」
「ほう、日頃より公務を放ってあちらこちらに出奔している王の言葉は、いやはや重みが違うな。感服した。しかしながら、そこまで崇高な考えでおるのならば、それこそ自分で進言すれば良いのではないかね?」
銀の王の言葉に、赤の王はにっこりと微笑んで見せた。
「何を仰る。彼らは私のような下賤の王とは口を利きたくないのだろうと、そう仰ったのは貴殿ではないか」
返ってきた言葉に、銀の王は目つきをますます鋭くして赤の王を睨み据えた。しかし、その目に睨まれても赤の王が表情を変えることはない。
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