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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議4
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一瞬にして空気が張り詰めた中、その緊迫感を壊すようにおっとりした声が一同の耳を撫でた。
「まあまあ、そんなに喧嘩なさらないで。同じ円卓の王同士、仲良くしましょう?」
慈愛の微笑みを浮かべてそう言ったのは、白の国フローラインの女王である。白い布で頭を覆った修道女のような服装の彼女の言葉に、褐色の肌に濃い金髪をした垂れ目の美男が同意する。
「彼女の言う通りですよ。さっさと本題済ませて帰りましょーや。お互い忙しい身でしょ」
軽薄そうな見た目の彼は、黄のリィンスタット王国の王だった。
「リィンスタット王の意見に同意するのは些か不快ですが、私もそう思います。そして、浅慮にもこのような時期に招集をかけたグランデル王においては、円滑かつ迅速に議会を進行させる義務があると考えますが、いかがでしょうか?」
冷たい目で赤の王を見た青髪の美形、青の国ミゼルティアの国王は、大の赤の国嫌いで有名な王である。もともと、創世の頃より北勢力である寒色の国と南勢力である暖色の国は不仲であったが、当代は特にそれが顕著だ。その理由の一つに、赤の王が庶子であることが挙げられる。伝統を重んじる寒色の国にとって、王家の血は殊更重視すべきものであるため、赤の王の出自には眉を顰める思いなのだ。
そのため、赤の王が即位して以降の円卓会議では、青の王が銀の王と共に赤の王をこき下ろす場面がよく見られるのだが、それに反応を示すのは金の王だけで、赤の王本人はどこ吹く風といった様子である。
今回もその例に漏れず、青の王の言葉に反論することもなく素直に頷いた赤の王は、話を進めるべく口を開いた。
「ミゼルティア王の仰る通りだ。それでは、僭越ながらご歓談を遮らせて頂き、本題に入ろう」
そう言った赤の王が、円卓に集った王たちを再び見回す。
「皆ご存知かと思うが、先日ギルディスティアフォンガルド王国が帝国の者による強襲にあった。本日はそれについて急ぎ話しておくべきことがあり、こうして緊急会議を開いたのだ」
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