アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議7
-
一方の赤の王は、頭を上げて再び銀の王と視線を合わせていた。
「ご忠告、痛み入る。しかとこの胸に刻み込もう。しかし、この会議を開いた本題はそこではないのだ」
赤の王の言葉に銀の王と青の王は眉根を寄せたが、それ以上発言を妨げるような真似はしなかった。
「ミゼルティア王が言った通り、此度の件、そもそもの発端はミゼルティア王国の使者が帝国の者に操られたことにある。詳細は不明だが、恐らくは何らかの魔導によって使者を操り、それを赤の国に寄越したのだろう。ここで問題にすべきは、その手腕である。ミゼルティア王城の厳重な警備をかいくぐり、かつ使者の精神を侵すほどの強力な魔導を用いた。まずはこの時点で、帝国の魔導に対する認識を改めるべきだと私は進言する」
そこで一度言葉を切った赤の王が円卓の王たちを見たが、表立って異論を唱える者はいなかった。それを確認してから、赤の王が言葉を続ける。
「更に、この一件が緻密に計画立てられていたことも問題だ。私の調べた限り、帝国側がアジト代わりに使っていた酒場は、半年以上前からギルディスティアフォンガルド王国にあったものらしい。つまり、彼らは半年以上も王や軍の目を欺き潜伏していたということになる」
その言葉に、銀の王が呆れと侮蔑を存分に含んだ目で金の王を見た。
「それに関しては、そこな幼王の目が節穴だったのであろう。帝国の侵入に気づかぬとは、他国や他大陸の人間を囲い込むのが好きな貿易大国家らしいではないか。しかし、このような失態が続くのであれば、自慢の交易活動を規制することも考えねばならぬな」
「いや、それは早計だ、エルキディタータリエンデ王」
銀の国の王の言葉に口を開きかけた金の王よりも早く反論したのは、赤の王だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
193 / 228