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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議8
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「なんだと?」
「早計だ、と申し上げた。ギルディスティアフォンガルド王は良くやっている。今回は帝国側が一枚上手だったと考えた方が正しいだろう。仮に帝国が潜伏したのが他の国だったとして、果たしてそれに気づけたかどうかは怪しい」
赤の王の発言に、ここまで黙っていた緑の髪の女性が口を開く。
「わたくしもグランデル王の意見に賛成しますわ」
赤の王に賛同の意を示したのは、緑の国カスィーミレウの国王だった。
「カスィーミレウ王よ、庶子の意見に迎合しろと申すか」
「いいえ、そうではありません。わたくしだって、ギルディスティアフォンガルド王が役目をきちんと果たせているかどうかについては疑問ですわ。けれど、帝国側の動きがわたくしたちの予想を越えて優れていたのも、また事実だと思いますの」
緑の王の意見に片眉を上げた銀の王だったが、同じ北勢力の国王の言葉だったからか、それ以上反論をすることはなかった。
「ご納得頂けたようで何よりだ。カスィーミレウ王の口添えにも感謝する」
「貴方のためにしたことではありませんから、感謝の言葉はいりませんわ。わたくしはわたくしの思ったことを述べたまでです。まるでわたくしを味方につけたかのような言い方をするのはやめてくださる?」
「これは失礼した。そのようなつもりは微塵もなかったが、不快な思いをさせたのならば謝罪しよう」
軽く頭を下げてみせてから、赤の王は言葉を続けた。
「とにかく、ギルディスティアフォンガルド王国に半年もの間潜伏できていた、という時点で、帝国は五年前とは比べ物にならないほどに力をつけていることが窺える。それに加え、彼らはとうとう次元魔導をも完成させたようだ」
次元魔導、という言葉に、円卓が僅かにざわめく。
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